改竄。もしくは上書き。

ベッドサイドに備えつけられたソファーに身を沈め、ダウンライトの灯りに浮かぶユウコの白い裸身を眺めながら俺は煙草に火を点けた。汗と唾液、それにスペルマでまみれた肌は艶やかに光っているように見えた。 「いっぱい、ついてるでしょ?」とユウコは俺の…

今日の雨はいい雨だ

どこへも出掛けたくないぜ。楽しもうぜ 楽しもうぜ。俺の顔は埃で真っ黒。 今日脳内で延々リピート。 http://www.youtube.com/watch?v=sIV1YAIleRk しかし、民主党はタレントやアスリートを揃えれば選挙はどうにかなると今も本気で思ってるんだなぁ。 それと…

黄昏ゆく街

「偶然なんだ」 俺はやや動揺していた。一年も前に足しげく通ったアパートの前で、訝しげな表情を浮かべるでもなく、心底興味無さそうな感じで、彼女は次の俺の言葉を待っていた。「彼氏?」 「ではない。でも優しくしてくれる」 「そう」 「うん。今日は部…

良薬。

黒いスーツに袖を通し、姿見に全身を映す。 普段、着慣れていないだけに滑稽なように思えたが、しゃんとして見えないこともなかった。それは黒のスーツを着るという意味合いが、そう感じさせるのかもしれない。時計を見ると時刻は午後七時を指していた。そろ…

「蒐集」

黄色ばかりで引きは強いのだけど、何故に三枚も同じっ!

book

虹ヶ原 ホログラフ作者: 浅野いにお出版社/メーカー: 太田出版発売日: 2006/07/26メディア: 単行本購入: 9人 クリック: 185回この商品を含むブログ (362件) を見る いっちゃてる人達(或るいは何処にでも居てそうな)が交錯する話です。 あちこち展開がブレ…

キミの住む街

犬森さん。

ポカミスだな。 課長の顔がこれでもか、というぐらい歪んでいる。 何か言いたいことはあるかね。と、課長は苦々しく言った。 あるわけがない。何の言い訳も説明もしようがないミスだった。すみませんでした。僕は頭垂れて手元の書類に目を落とした。 机に肘…

ドロップ

十四日ぶりの休日の目覚めはフライングニードロップからだった。 悶絶し、呻き声すらでないでいる僕に二撃目のドロップキックが背中に炸裂した。 一体、何だっていうんだ。襲撃犯が何かを言っている。その声を僕は知っている。いや、最初から分かっている事…

夜の海

漆黒の空を見上げ、俺は大きく伸びをした。 約束の時は数分後に迫っているがユウコの姿はまだ見えない。 まあ、いつもの事だ。と、さしたる感情の揺れもなく俺は煙草に火をつける。ユウコと会うのは今回で三回目になるが、どれもまともに来た試しは無かった…

池の鎖

池があった。僕が生まれる前よりも、聞けば親父が生まれた時から街にあった池。 そんなに大きな池ではない。ぐるりと徒歩で廻って十と三分。その池が都市開発の波に呑まれ、住宅地になることになった。約、一年少々で工事が終わり、拓けた土地にはあっという…

蒐集

久々のマスターパック。

息子

今日は子供の入学式でした。 家から歩くこと二十分。なに、この苦行。めっさ疲れたんですけど。それで二クラスしかない過疎っぷり。今はこれが普通みたいですけどね。俺が小学生の時は六クラスあったけどな。中学の時は十二クラスとかだったし。 そういうこ…

book「Story  Seller2」

七人の作家によるアンソロジー。 前回と違うのは道尾秀介氏が外れ、沢木耕太郎氏が参加しております。とりたてて目新しい発見は今回はありませんでした。個人的には伊坂先生と有川先生ぐらいかな。 どうでもいい蛇足ですが、伊坂先生の合コンの話に出てくる…

どくどく

バラまきの民主に懐肥やしの自民。どっちもどっちですが、間違いなく景気回復は望めませんね。子供手当ては有り難いですが、納税者対象にしていただきたいものです。ここは日本だろ?外国人選挙権には断固、反対です。ここは日本だろ?

蒐集

本日の引き当て

春よ

ベイブレ人気て凄いですね。今日限り、新機三台入荷。先着八十名様、一人一個。と、いうフレーズにはめられてオープン前から行かされる罠。並んでましたねえ、朝の早くから。正直、ナメてました。整理券が配られ、さしたる混乱は無かったんですが、後から後…

だからね、俺、言ってやったんすよ。 そう、得意気に話すのは去年、うちの部に配属された若者だった。仕事も早いがキレるのも早い。 そんなとこで餌、やんなって。ここは天下の往来で、アンタが餌やるのは勝手だけど道が汚れるじゃねえかって。 彼が言ってい…

book「オー!ファーザー」伊坂幸太郎著

あとがきに触れているように第一期な感じのお話です。 自身も父親業をやってるせいでしょうか、息子が可愛いのは非常に分るので、こういう話はいい話です。 その割りには終わり方がすっきりしない無理矢理な感じがしましたが、初期の伊坂作品が好きな方はい…

お前の首をちょんと切る

薄くたなびく雲を配した群青の空の姿は、にわかに、かき曇った。 もうすぐ雨が降る。鼻もそう、教えている。アパートの一階に住む少年が吊った照る照る坊主はどうやら効果を発揮しないらしい。 今頃、あの少年は不穏に曇り始めた空を見上げて溜め息をついて…

蒐集

男って小物というかオマケみたな物を集めたりしますよね。するよな? 断定。古くはビックリマンシールからペットボトルについてくるフィギュアキャップとか。そして、女子は得てして邪魔だとか、何に使うん? とか現実を突きつけてきます。するよな? 断定。…

雉猿犬

岡山に出張に行ってた部長から土産を貰った。 これはアレですね。そういう意味が含まれているんですね。ワカリマス。

恋というには服が邪魔をする

寂れた駅から、徒歩十分圏内にある潰れた居酒屋の駐車場らしい、場所で俺は車を停めている。ナビシートから跨ぐ格好でユウコは俺の股ぐらの間で顔を上下にシェイクしている。大きく開いたシャツの胸元に手をさしいれ弾力のある胸を揉みしだきながら、俺はあ…

コーリング

この声が聞こえるかい と、書いた落書きを見た。 _____________________ 坂の上、車を停めて窓から見る景色は少し離れた街を俯瞰出来る。 今日は生憎の雨模様で灯は滲んで見えるけれど、これはこれで悪くない。

そんな感じ

つまんないんだよねって、彼女は言った。 ほんの少しの間を措いて、彼は言った。 「なんか、言った?」 彼の目は右の掌にある携帯に注がれたまま。テーブルで所在なさそうなコーヒーはとっくに冷めてしまった。 彼女は答えず、窓の方に目を遣る。駅近だとい…

fly high

かまいたちが起こした風に、馬車馬のように働きずめの毎日から、 おさらばしようと山吹色した落葉に蟻のイチ助は飛び乗った。 振り落とされないように日頃、鍛えた六肢でしかと捕まり追っ手の届かない所まで。 いつも見上げればあった天辺の淵が、ほら、こん…

ペケペケ

向かいの猫山さん家のポストに、履いてたふんどしが逃げた。あれは一反木綿じゃないのかとの旨を回文にして投函しておいた。 仕事から帰ってくると卓袱台の上でボロ切れのズタ切れになった木綿が泣いていた。木綿が嗚咽まじりに手紙を渡すので、何かと見てみ…

フーガ

南の方から積乱雲に隠された天空の城を見てきたのだと言う、ブルドッグみたいな顔した車掌さんは、たおやかにパイプをくゆらせていた。これから死海に向かうのだという。 プカプカ浮きながら地ビールでも飲むのだと笑う。なるほど、死海なら車掌さんの大きな…

優しい詩

石畳は針葉樹の落ち葉で埋めつくされ、色鮮やかな絨毯を作り、くたびれた革靴に疲れたパンプス。おぼつかないヒールとカラフルなスニーカー。オイルドブーツに駆けてゆくジョギングシューズが踏み鳴らしていく音は巡りゆく季節を優しく貴方達に語りかけてい…

エレジー

波間に消えようとする今日という日をオールを漕いで追いかける小舟は真っ赤な夕日に照らされ、どっぷりと陽が沈む頃には何処にも小舟の姿は見えなくて、ただまん丸い月が波間に揺れていた。