そんな感じ

つまんないんだよねって、彼女は言った。
ほんの少しの間を措いて、彼は言った。
「なんか、言った?」
彼の目は右の掌にある携帯に注がれたまま。テーブルで所在なさそうなコーヒーはとっくに冷めてしまった。
彼女は答えず、窓の方に目を遣る。駅近だというのに休日という事もあってか、行き交う人はまばらで彼女の興味を惹くものは無さそうだった。彼の方を見ると、相変わらず携帯を握りしめたままだ。
彼女は何も言わず、席を立ちそのまま店を出た。

あーあ、つまんね。

彼女は少しだけ乱暴にタイル張りの床をブーツで踏み鳴らしながら、駅へと去った。

彼は相変わらず携帯を触っていた。何も気づかないのだろうか。いや、気付いてるのだろうか。どちらにせよ、彼も彼女も興味がないのだろう。





そんな虚無感な感じですよ。
三十を超えてからの誕生日なんて。