2004-08-08 落日 うだるような日中の暑さが過ぎ、頬を撫でる心地よい風は煙草の煙を後方へと流し去った。 今だアスファルトに蓄積された太陽熱は立ち昇り陽炎となりて現見を残すが落日とともに消えるだろう。 蜩が木々から飛び去った。 待ち構えてたかのように、一羽の燕が其れを捕食した。 これが、この日最後にありつける食事であろう。 黄昏ゆく空に塒(ねぐら)へと帰路につく燕を地に根を下ろす者が目を細めて見上げていた。