ペケペケ
向かいの猫山さん家のポストに、履いてたふんどしが逃げた。あれは一反木綿じゃないのかとの旨を回文にして投函しておいた。
仕事から帰ってくると卓袱台の上でボロ切れのズタ切れになった木綿が泣いていた。木綿が嗚咽まじりに手紙を渡すので、何かと見てみると、教育しなおしておきました。と、書かれていた。
文字通り絞られたのだろう。やりすぎだろうと思った。
直ぐに僕は猫山さん家のポストに返事をしたためた手紙に木綿を同梱して投函した。
翌日に時間指定でクール宅急便が届いた。
何だろうと思って箱を開けてみると、そこには昨日 送ったはずの木綿がスヤスヤと寝息をたてて納まっていた。その横にはメモがあった。
生ものなので返品は不可だそうだ。